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NISAの活用事例:失敗条件と回避策
NISAの活用事例:失敗条件と回避策 2024年から始まった新しいNISA制度は、個人の資産形成を強力に後押しする非課税制度として注目を集めています。しかし、制度のメリットを最大限に活かし、着実に資産を増やすためには、単にNISA口座を開設するだけでなく、自身のライフプランに合わせた適切な活用が不可欠です。 本記事では
NISA SELECTION FLOW
対象商品から、自分の条件へ絞る
2024年から始まった新しいNISA制度は、個人の資産形成を強力に後押しする非課税制度として注目を集めています。しかし、制度のメリットを最大限に活かし、着実に資産を増やすためには、単にNISA口座を開設するだけでなく、自身のライフプランに合わせた適切な活用が不可欠です。
本記事では、金融庁が提示するNISAの7つの活用事例を基に、それぞれのパターンで陥りやすい「失敗条件」と、それを回避するための具体的な「回避策」を詳細に解説します。NISA制度を正しく理解し、賢く活用することで、将来に向けた資産形成を成功させるための道筋を探ります。
1. 新NISA制度の概要と「失敗」の定義
新しいNISA制度は、非課税保有限度額が1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)、非課税保有期間が無期限化されるなど、旧制度と比較して大幅に拡充されました。これにより、より長期的な視点での資産形成が可能となり、非課税メリットを享受できる機会が広がっています。
しかし、投資には常にリスクが伴います。NISA制度を活用したからといって、必ずしも資産が増えるわけではありません。金融庁が提示する活用事例は、あくまで「資産形成の成功パターン」を示唆するものです。これらのパターンから逸脱したり、投資の基本原則を無視したりすると、期待通りの成果が得られない、あるいは元本割れといった「失敗」につながる可能性があります。
本記事でいう「失敗」とは、主に以下の状態を指します。
- 目標達成の失敗: 自身のライフプランや目標とする資産額に到達できないこと。
- 元本割れ: 投資元本を下回る結果となること。
- 制度メリットの喪失: 非課税枠を有効活用できなかったり、非課税期間中に不必要な売買を繰り返したりすること。
- 投資の継続断念: 無理な投資計画により、途中で投資を諦めてしまうこと。
これらの失敗を回避し、NISA制度を最大限に活用するためには、金融庁が示す活用事例の意図を深く理解し、自身の状況に合わせた計画を立てることが重要です。
2. 金融庁が示すNISAの7つの活用パターンと、そこから導かれる失敗条件・回避策
金融庁は、NISA特設ウェブサイトで7つの活用パターン例を提示しています。これらは、様々な投資家のニーズに応じた資産形成のモデルケースであり、それぞれのパターンには、成功のための前提と、それに反した場合の失敗条件が内包されています。
※金融庁のシミュレーション例は、仮想的な特定の条件のもとでの計算結果や数値の例示を目的としたものであり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。また、手数料等は考慮されておりません。実際の資産運用や投資判断に当たっては、必ずご自身の責任において最終的に判断してください。
2.1. パターン①:コツコツ長期継続パターン
概要と目的: 長期間にわたって、継続的に少額で積立投資を行うことを想定しています。投資初心者や、無理なく着実に資産を増やしたいと考える方に適しています。
- 投資経験が少ない、またはこれから投資を始める方。
- 毎月の家計に大きな負担をかけずに、長期的な視点で資産形成を目指したい方。
- 短期的な市場の変動に一喜一憂せず、淡々と積立を続けられる方。
- 月3万円を40年間、つみたて投資枠で積立投資。(金融庁例)
- 短期的な値動きへの過剰反応: 投資を始めたばかりで、市場が一時的に下落した際に不安になり、積立を停止したり、売却してしまったりすること。長期継続のメリット(複利効果やドルコスト平均法)を享受できなくなります。
- 無理のない積立額の誤解: 「少額だから大丈夫」と安易に考え、家計の状況を十分に考慮せず、途中で積立が困難になる額を設定してしまうこと。
- 投資対象の分散不足: 少額だからと、特定の個別株やテーマ型ファンドに集中投資し、リスクを過度に高めてしまうこと。
- 長期的な視点の徹底: 投資はマラソンであり、短期的な値動きはノイズと捉え、目標達成まで積立を継続する強い意志を持つこと。
- 家計に合わせた積立額の設定: 毎月の収入と支出を把握し、無理なく継続できる積立額を決定する。ボーナス時や収入増加時に増額を検討する柔軟性も持つ。
- 分散投資の基本遵守: 複数の資産クラス(国内外の株式、債券など)に分散された投資信託(特にインデックスファンド)を選ぶことで、リスクを低減する。つみたて投資枠の対象商品は、金融庁が定める要件を満たした、長期・積立・分散投資に適した商品が中心です。
2.2. パターン②:毎月多めに積み立てパターン
概要と目的: 一定期間、継続的に少し多めの金額で積立投資を行い、比較的短期間でまとまった資産形成を目指すパターンです。
- ある程度の貯蓄があり、毎月の収入にも余裕がある方。
- 住宅購入や教育資金など、中期的な目標に向けて資産を増やしたい方。
- リスクを適切に管理しながら、効率的な資産形成を目指したい方。
- 月5万円を20年間、つみたて投資枠で積立投資。(金融庁例)
- 生活防衛資金の不足: 投資に回す金額を増やしすぎた結果、急な出費に対応できなくなり、NISA口座の資産を取り崩さざるを得なくなること。非課税枠を無駄にするだけでなく、市場が下落しているタイミングでの売却は損失を確定させることになります。
- リスク許容度とのミスマッチ: 多めに積立を行うことで、市場の変動による評価額の増減も大きくなるため、自身の精神的な許容範囲を超えてしまい、冷静な判断ができなくなること。
- 目標設定の曖昧さ: 「多めに」という漠然とした目標で積立を始め、具体的な目標額や期間が不明確なため、モチベーションが維持できないこと。
- 生活防衛資金の確保: 投資を始める前に、少なくとも生活費の3ヶ月~6ヶ月分程度の現金を確保しておく。
- リスク許容度の正確な把握: 自身の年齢、収入、家族構成、性格などを考慮し、どの程度の損失なら許容できるかを事前に把握する。必要であれば、リスクの低い商品(例:バランス型ファンド)も検討する。
- 具体的な目標設定: 「〇年後に〇〇万円を貯める」といった具体的な目標を設定し、それに向けて逆算して積立額を決定する。
2.3. パターン③:年間投資枠を有効活用パターン
概要と目的: つみたて投資枠の年間投資上限額(120万円)まで活用し、その後は継続保有することで、非課税メリットを最大限に享受しながら資産を増やすことを目指します。
- 年間120万円の積立が可能で、非課税枠をフル活用したい方。
- 積立期間終了後も、長期的に資産を運用し続けたい方。
- 市場の動向に左右されず、計画的に投資を継続できる方。
- 月10万円を15年間、つみたて投資枠で積立投資。その後、15年継続保有。(金融庁例)
- 積立期間終了後の放置: 積立期間が終了した後、資産の運用状況を確認せず、市場環境の変化に対応できないまま放置してしまうこと。
- 非課税枠の再利用の機会損失: 積立期間終了後も、非課税枠が空いているにもかかわらず、新たな投資を行わないこと。新NISAは非課税保有限度額の再利用が可能であるため、このメリットを活かせないのは機会損失です。
- 無理な積立による家計圧迫: 年間120万円という上限額にこだわりすぎ、家計を圧迫するほどの積立額を設定し、途中で挫折してしまうこと。
- 定期的なポートフォリオの見直し: 積立期間終了後も、年に一度は資産の状況を確認し、必要に応じてリバランス(資産配分の調整)を行う。
- 非課税枠の再利用計画: 資産を売却して非課税枠が空いた場合、その枠をどのように再利用するかを事前に検討しておく。
- 柔軟な積立計画: 年間上限額は目標としつつも、家計の状況に応じて積立額を柔軟に調整する。無理なく継続できることが最も重要です。
2.4. パターン④:成長投資枠で一括投資パターン
概要と目的: 成長投資枠(年間240万円)を活用し、まとまった資金を株式や投資信託等に一括で投資することを想定しています。
- ある程度のまとまった資金があり、それを効率的に運用したい方。
- 個別株や特定のテーマ型投資信託など、成長性の高い商品に投資したい方。
- 市場の動向をある程度理解し、自己判断で投資商品を選べる方。
- 成長投資枠にてA社株式を2,400円で1,000株買付け、そのまま1年間保有。(金融庁例)
- 集中投資によるリスク過大: 成長投資枠で特定の個別株や少数の投資信託に資金を集中させ、その銘柄や市場が下落した際に大きな損失を被ること。
- 高値掴みと狼狽売り: 市場が過熱している時に一括投資を行い、その後市場が調整局面に入った際に、損失を恐れて焦って売却してしまうこと。
- 情報収集不足と安易な判断: 十分な企業分析や市場調査を行わず、SNSやメディアの情報に流されて投資判断をしてしまうこと。
- 分散投資の徹底: 成長投資枠であっても、複数の銘柄や異なる資産クラスに分散して投資する。個別株に投資する場合でも、業種や地域を分散させる。
- 投資タイミングの分散(ドルコスト平均法)の検討: 一括投資のリスクを軽減するため、資金を複数回に分けて投資する「時間分散」も有効な戦略です。
- 徹底した情報収集と自己判断: 投資対象となる企業や商品の財務状況、成長性、市場環境などを自身で十分に調査・分析し、納得した上で投資判断を行う。
2.5. パターン⑤:成長投資枠も活用!一気に積立パターン
概要と目的: つみたて投資枠と成長投資枠の両方を短期間で年間投資上限額まで活用し、その後継続保有することで、早期に非課税保有限度額を埋め、長期運用を目指すパターンです。
- まとまった資金があり、短期間で非課税枠を最大限に活用したい方。
- 早期に資産形成の基盤を築き、その後は長期的な運用に移行したい方。
- 市場の変動リスクを理解し、ある程度の含み損にも耐えられる方。
- つみたて投資枠、成長投資枠それぞれで年間上限額まで5年間積立投資し、その後15年間保有。(金融庁例)
- 市場の変動リスクの集中: 短期間で多額の資金を投資するため、市場が下落局面にある場合、平均取得単価が高くなり、含み損が大きくなるリスクがある。
- 資金繰りの悪化: 非課税枠を埋めることに注力しすぎ、急な出費に対応できる手元資金が不足してしまうこと。
- 投資商品の選定ミス: 短期間で多額を投資するため、リスクの高い商品や自身の目標に合わない商品を選んでしまうと、その影響が大きくなる。
- 市場環境の慎重な見極め: 一気に投資する際は、現在の市場が過熱していないか、将来的な成長が見込めるかなどを慎重に判断する。
- 十分な生活防衛資金の確保: 投資に回す資金とは別に、緊急時に備えた十分な現金を確保しておく。
- 分散投資とリスク管理の徹底: つみたて投資枠と成長投資枠で、異なる資産クラスや地域に分散投資を行う。成長投資枠では、リスクの高い個別株だけでなく、分散された投資信託も活用する。
2.6. パターン⑥:途中売却しても続けて資産形成パターン
概要と目的: コツコツ積立投資しつつ、資金が必要な時には部分的に取り崩し、柔軟に資産を活用しながら資産形成を継続するパターンです。新NISAでは、売却した非課税枠は翌年以降に再利用できるため、この柔軟性が増しました。
- 将来的にまとまった資金が必要になる予定があるが、それまでは積立投資を継続したい方。
- ライフイベントに合わせて、柔軟に資金を確保したい方。
- 非課税枠の再利用メリットを理解し、計画的に活用したい方。
- つみたて投資枠で毎月5万円を積立投資。10年経過時点で100万円を取り崩したが、その後さらに10年間積立投資を継続。(金融庁例)
- 安易な取り崩し: 必要性の低い理由で頻繁に資産を取り崩し、非課税メリットを十分に享受できないこと。特に市場が下落しているタイミングでの売却は、損失を確定させることになります。
- 取り崩し後の再投資計画の欠如: 資金を取り崩した後、空いた非課税枠を再利用する計画がなく、結果的に非課税保有限度額を有効活用できないこと。
- 非課税枠の再利用時期の誤解: 売却した非課税枠は翌年以降に復活するというルールを誤解し、すぐに再投資できると考えてしまうこと。
- 取り崩しルールの明確化: どのような状況で、どの程度の金額を取り崩すかを事前に決めておく。緊急時や明確なライフイベントに限定するなど、安易な取り崩しを避けるためのルールを設定する。
- 再投資計画の立案: 資金を取り崩す際は、翌年以降に復活する非課税枠をどのように再利用するか(積立額の増額、新たな商品への投資など)を検討しておく。
- 制度の正確な理解: 非課税枠の再利用ルール(売却した枠は翌年以降に復活し、年間投資枠とは別に管理される)を正しく理解する。
2.7. パターン⑦:収入の増加にあわせて積立金額もUP!パターン
概要と目的: 少額の積立投資から始め、収入の増加に合わせて積立金額を増やしていくことで、無理なく効率的に資産形成を進めるパターンです。
- 現在は収入が少ないが、将来的な収入増加が見込まれる方(例:若年層、キャリアアップを目指す方)。
- 最初は少額から始めたいが、最終的には非課税枠を最大限活用したい方。
- 自身の成長に合わせて投資額も増やしていきたいと考える方。
- 月1万円、つみたて投資枠で積立投資を開始し、5年ごとに2万円ずつ積立金額を増やしながら計25年間積立投資。(金融庁例)
- 収入増加の過信: 将来の収入増加を過度に楽観視し、現実離れした積立計画を立ててしまうこと。期待通りの収入増加がなかった場合、計画が破綻する可能性があります。
- 積立額増額の機会損失: 収入が増加したにもかかわらず、積立額を見直さずに少額のまま継続してしまい、非課税メリットを十分に享受できないこと。
- 家計管理の怠慢: 収入が増えた分だけ支出も増えてしまい(ライフスタイルインフレ)、積立額を増やせる余裕が生まれないこと。
- 現実的な収入増加の見込み: 将来の収入増加はあくまで見込みであり、確実ではないことを認識する。計画は柔軟に変更できるものとして捉える。
- 定期的な積立額の見直し: 昇給やボーナスなど、収入が増加したタイミングで、積立額を増額できないか定期的に検討する。
- 家計管理の徹底: 収入が増えても、支出をコントロールし、投資に回せる資金を確保するための家計管理を継続する。
3. NISA活用における共通の失敗条件と回避策
上記の各パターンに共通する、より一般的な失敗条件と、それに対する回避策をまとめます。
3.1. 共通の失敗条件
- 非課税保有限度額や年間投資枠、非課税保有期間、売却後の非課税枠の再利用ルールなどを正確に理解していない。
- NISA口座で損失が出た場合に、他の課税口座の利益と損益通算できない(損益通算の禁止)ことを知らない。
- 自身の年齢、収入、家族構成、性格などを考慮せず、過度にリスクの高い商品に投資してしまう。
- 市場の変動による評価額の増減に耐えられず、精神的なストレスを感じてしまう。
- NISAが長期的な資産形成を目的とした制度であるにもかかわらず、短期的な値上がり益を狙って頻繁に売買を繰り返す。
- 非課税枠を短期売買で消費してしまい、長期投資のメリットを享受できない。
- インターネットやSNS上の情報に振り回され、自身の投資方針が定まらない。
- 根拠のない情報や煽り文句に流され、安易な投資判断をしてしまう。
- 生活防衛資金を確保しないまま投資を始める。
- 無理な積立額を設定し、家計を圧迫してしまう。
- 収入が増えても支出も増え、投資に回せる資金が増えない。
3.2. 共通の回避策
- 金融庁のNISA特設ウェブサイトや信頼できる情報源で、NISA制度の基本ルールを正確に学ぶ。
- 特に、非課税保有限度額の再利用や、損益通算の不可といった重要事項を把握する。
- 将来の目標(住宅購入、教育資金、老後資金など)を明確にし、それに応じた投資期間と目標額を設定する。
- 自身の年齢、収入、家族構成、性格などを考慮し、どの程度の損失なら許容できるかを具体的に把握する。
- NISAの非課税メリットを最大限に活かすため、長期的な視点で投資を継続する。
- 毎月一定額を積み立てることで、価格変動リスクを低減する(ドルコスト平均法)。
- 複数の資産クラスや地域に分散投資することで、リスクを分散する。
- 年に一度は、自身のライフプランや市場環境、投資商品の状況を確認し、必要に応じてポートフォリオや積立額を見直す。
- 収入や支出の変化に合わせて、積立額を柔軟に調整する。
- 金融庁のNISA特設ウェブサイトにある「ライフプランシミュレーター」や「つみたてシミュレーター」を活用し、自身の状況に応じた資産形成のイメージを具体的に把握する。これにより、無理のない計画を立てやすくなります。
4. NISA活用における意思決定の手順
NISA SELECTION FLOW
対象商品から、自分の条件へ絞る
NISAを成功させるためには、計画的かつ段階的な意思決定が不可欠です。
- いつまでに、いくら貯めたいのか?(例:10年後に住宅購入資金として500万円、老後資金として30年後に3,000万円)
- その目標達成のために、毎月いくら投資に回せるのか?
- これらの目標は、現実的か?
- 元本割れのリスクをどの程度許容できるか?
- 市場が大きく下落した際に、冷静でいられるか?
- リスク許容度に応じて、投資商品の選択肢を絞り込む。
- つみたて投資枠では、金融庁が定める要件を満たした投資信託(主にインデックスファンド)が中心となる。
- 成長投資枠では、個別株、投資信託、ETFなど幅広い選択肢があるが、分散投資を意識し、自身の目標とリスク許容度に合った商品を選ぶ。
- 手数料(信託報酬など)が低く、長期保有に適した商品を選ぶことが重要。
- ステップ1と2で明確にした目標とリスク許容度に基づき、無理のない範囲で積立額や一括投資額を設定する。
- 年間投資枠(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)を意識しつつ、自身の家計状況を最優先する。
- 年に一度は、自身のライフプラン、家計状況、市場環境、投資商品の運用状況を確認する。
- 必要に応じて、積立額の変更、ポートフォリオのリバランス、投資商品の見直しなどを行う。
5. NISAの費用とリスクについて
NISAは非課税制度ですが、投資である以上、費用とリスクは存在します。
5.1. NISAの費用
金融庁の活用事例では「手数料等は考慮しておりません」と明記されていますが、NISA口座で投資を行う際には、以下の費用が発生する可能性があります。
- 購入時手数料(販売手数料): 投資信託を購入する際に発生する手数料。つみたて投資枠の対象商品は、購入時手数料が無料(ノーロード)のものがほとんどです。
- 信託報酬: 投資信託を保有している間、日々差し引かれる運用管理費用。年率0.1%~2%程度と商品によって幅があります。長期投資ではこの信託報酬が運用成果に大きく影響するため、低いものを選ぶことが重要です。
- 信託財産留保額: 投資信託を売却する際に発生する費用。
- 売買手数料: 個別株やETFを売買する際に証券会社に支払う手数料。
これらの費用は、非課税メリットを享受してもなお、運用成果を圧迫する可能性があるため、商品選定時には十分に確認することが必要です。
5.2. NISAのリスク
NISA口座での投資も、一般的な投資と同様に様々なリスクを伴います。
- 価格変動リスク: 株式や投資信託の価格は、企業の業績、経済状況、政治情勢など様々な要因で変動し、元本を割り込む可能性があります。
- 為替変動リスク: 外国の資産に投資する場合、為替レートの変動によって円換算での価値が変動するリスクです。
- 金利変動リスク: 債券などに投資する場合、金利の変動によって価格が変動するリスクです。
- 信用リスク: 投資対象となる企業や国の財政状況が悪化し、債務不履行に陥るリスクです。
- 流動性リスク: 投資したい時に購入できなかったり、売却したい時に希望する価格で売却できなかったりするリスクです。
これらのリスクを完全に回避することはできませんが、分散投資や長期投資、自身のリスク許容度に応じた商品選びによって、リスクを低減することは可能です。
6. NISAに向く人・避けるべき人
NISA制度は多くの人にとって資産形成の強力なツールとなりますが、全ての人に万能というわけではありません。
6.1. NISAに向く人
- 長期的な視点で資産形成を考えている人: 非課税期間が無期限化された新NISAは、長期投資のメリットを最大限に享受できます。
- 非課税メリットを最大限活用したい人: 投資で得た利益に税金がかからないため、効率的に資産を増やしたい人に最適です。
- 少額から投資を始めたい人: つみたて投資枠は月々数千円から始められるため、投資初心者や家計に余裕がない人でも始めやすいです。
- 投資初心者: つみたて投資枠の対象商品は、金融庁が定めた基準を満たした、長期・積立・分散投資に適した商品が中心であり、商品選びに迷いにくいです。
- ライフイベントに合わせて柔軟に資金を活用したい人: 売却した非課税枠が翌年以降に再利用できるため、将来の資金ニーズに対応しやすいです。
6.2. NISAを避けるべき人(あるいは注意が必要な人)
- 短期的な利益を追求する人: NISAは長期投資を前提とした制度であり、短期売買には不向きです。頻繁な売買は非課税枠を無駄に消費し、手数料もかさみます。
- 元本保証を求める人: NISAは投資であるため、元本保証はありません。元本割れのリスクを一切許容できない人には不向きです。
- リスク許容度が極めて低い人: わずかな価格変動でも精神的なストレスを感じてしまう人は、投資自体が向いていない可能性があります。
- 制度を理解せずに始める人: NISAのルールを誤解したまま投資を始めると、思わぬ損失や非課税メリットの喪失につながる可能性があります。
- 生活防衛資金がない人: 緊急時に対応できる手元資金がない状態で投資を始めると、市場が下落しているタイミングで資産を取り崩さざるを得なくなり、損失を確定させるリスクが高まります。
7. よくある質問(FAQ)
Q1: NISAで元本割れすることはありますか?
A1: はい、NISA口座での投資も元本割れする可能性はあります。NISAはあくまで「非課税制度」であり、投資そのもののリスクをなくすものではありません。株式や投資信託などの金融商品は、市場の変動により価格が下落し、投資元本を下回ることがあります。特に、短期的な視点での投資や、特定の銘柄への集中投資は、元本割れのリスクを高めます。長期・積立・分散投資を心がけることで、リスクを低減し、元本割れのリスクを抑えることが期待できます。
Q2: 途中で資金が必要になったらどうすればいいですか?
A2: 新NISA制度では、NISA口座の資産を途中で売却し、資金を取り崩すことが可能です。金融庁の活用事例「パターン⑥:途中売却しても続けて資産形成パターン」でも示されているように、必要な時に部分的に売却し、柔軟に資金を活用できます。さらに、売却して空いた非課税枠は、翌年以降に再利用できるようになります。ただし、市場が下落しているタイミングでの売却は損失を確定させることになるため、計画的な取り崩しが重要です。
Q3: どのような商品を選べばいいですか?
- つみたて投資枠: 金融庁が定める要件を満たした、長期・積立・分散投資に適した投資信託(主にインデックスファンド)が対象です。低コストで幅広い資産に分散投資できる商品を選ぶのが一般的です。
- 成長投資枠: 個別株、投資信託、ETFなど幅広い商品が対象ですが、つみたて投資枠と同様に、分散投資を意識し、自身の目標とリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。
Q4: 2023年までのNISA口座はどうなりますか?
- 旧つみたてNISA: 最長20年間、非課税で運用を継続できます。非課税期間が終了した時点で、課税口座に移管されるか、売却するかを選択することになります。
- 旧一般NISA: 最長5年間、非課税で運用を継続できます。非課税期間が終了した時点で、課税口座に移管されるか、売却するかを選択することになります。
8. まとめ:継続こそが成功への鍵
NISA制度は、非課税という強力なメリットを持つ資産形成のツールです。しかし、その恩恵を最大限に享受し、着実に資産を増やすためには、制度の正しい理解と、自身のライフプランに合わせた計画的な活用が不可欠です。
金融庁が提示する7つの活用事例は、NISAを成功させるための具体的なヒントを与えてくれます。それぞれのパターンに潜む「失敗条件」を認識し、適切な「回避策」を講じることで、リスクを管理しながら目標達成へと近づくことができるでしょう。
最も重要なのは、「個々人のライフプランにあわせて、無理なく資産形成を継続していくこと」です。短期的な市場の変動に一喜一憂せず、長期的な視点で、自身のペースで投資を続けること。そして、定期的に自身の状況を見直し、必要に応じて計画を調整する柔軟性を持つことが、NISAを活用した資産形成を成功させるための鍵となります。
金融庁の「ライフプランシミュレーター」や「つみたてシミュレーター」なども活用し、ご自身の未来に向けた資産形成を、今日から始めてみましょう。